2015年に採択された2つの大きな国際的なアクション「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」および「パリ協定」の発効をうけて、「グリーン公共調達(Green Public Procurement:GPP)」もしくは「持続可能な公共調達(Sustainable Public Procurement:SPP」といった環境政策が今、注目されています。国等が自ら率先して環境物品等を購入することで、需要面からその市場を拡大するとともに、雇用の創出や経済全体の活性化につながることが期待されています。その実効性の向上に大きく寄与すると期待されているのがタイプⅠ環境ラベルなのです。
OECDの調査によると、公共調達の規模は先進国ではGDPの約12%、途上国では約30%を占めるとまでいわれており、そのボリュームメリットを環境面や持続可能性、経済面にも広く活用していくことが世界的に議論されています。
日本では、2000年5月に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(以下、グリーン購入法)」が制定され、タイプⅠ環境ラベルであるエコマークが調達すべき環境配慮型製品の目安として広く活用されるようになりました。通販カタログやウェブサイトなど多様な購入経路が存在し、調達担当者にとっては、環境配慮型製品を調達しやすい環境が整備されていると言えます。
グリーン購入法とエコマーク
しかし、東南アジアなどのGPP/SPP途上国では、環境配慮型製品の入手可能性が課題の一つとなっているほか、調達担当者の環境分野に関する知見も十分とはいえない状況です。製品を調達するにあたり法規等で要求される環境要件を満たす製品がどれかを調達担当者が判断できないといった問題や、事業者においても製品の環境性能をアピールする手段が限られているといった問題もあります。
そこで、GPP/SPPの実効性を高めるツールとして、エコマークのようなタイプⅠ環境ラベルに期待が寄せられているのです。タイプⅠ環境ラベル製品であれば、調達時に満たすべき環境要件に適合しているとみなすことができ、調達担当者は専門知識がなくても、適切な環境配慮型製品を容易に調達することができます。つまり、GPP/SPPといった制度(ハード)を効率的かつ実効性の高い制度として運用するためには、環境ラベルといったツール(ソフト)の充実が大きなカギとなっています。そのため、GPP/SPPの対象となる環境配慮製品をタイプⅠ環境ラベルによって特定する枠組みの構築が、世界各国で進められています。
そして今、そのような環境ラベルとGPP/SPPの推進に関するさまざまな取り組みが、国連環境計画(UN Environment)をはじめとした国際機関の主導で行われています。
エコマークでは、国や国際機関などとも連携しつつ、環境ラベルやGPP/SPPに関する国際的な議論に参画するとともに、国際会議やワークショップの機会を活用し、日本のエコマークやグリーン公共調達制度について積極な情報発信や知見共有を実施することで国際貢献を行っています。
さらには、UN Environmentが事務局として推進している「持続可能な消費と生産の10年計画枠組み(10YFP)」の「持続可能な公共調達プログラム(SPPプログラム)」のアドバイザー委員会(MAC)のメンバーとしても活動しており、タイプⅠ環境ラベルを運営する機関として国際協力に取り組んでいます。
国際会議・シンポジウムの様子