エコマーク事業実施要領
第1章 総則
1.エコマーク事業の目的
エコマーク事業は、日常生活や事業活動に伴う環境への負荷の低減など、環境保全に役立つと認められる商品(製品およびサービス。以下同じ)に「エコマーク」を付けることにより、商品の環境的側面に関する情報を広く社会に提供し、持続可能な社会の形成に向けて消費者ならびに事業者の行動を誘導していくことを目的とします。
2.エコマークの対象となる商品の基本的な要件
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エコマークの対象となる商品は、次に掲げる要件のいずれかに該当し、これを消費者に奨励することが環境保全のために適切であると認められる商品の類型に属するものとします。
- その商品の製造、使用、廃棄などによる環境への負荷が、他の同様の商品と比較して相対的に少ないこと
- その商品を利用することにより、他の原因から生ずる環境への負荷を低減することができるなど環境保全に寄与する効果が大きいこと
- 2-2.
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エコマークを付けることができる商品(以下「エコマーク商品」という。)は、国内製品、外国製品を問わず日本国内で販売される商品で、エコマークが対象とする商品の類型(以下「商品類型」という。)に該当し、かつ、第3章の手続きにより認定を受けたものに限られます。
3.エコマーク事業の運営体制
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エコマーク事業は公益財団法人日本環境協会が実施し、その事務は同協会のエコマーク事務局(以下「事務局」という。)が担当します。
- 3-2.
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エコマーク事業の適正な運営を図るため、公益財団法人日本環境協会に諮問機関として、エコマーク運営委員会(以下「運営委員会」という)、エコマーク企画戦略委員会(以下「企画戦略委員会」という)、エコマーク基準審議委員会(以下「基準審議委員会」という)およびエコマーク審査委員会(以下「審査委員会」という)を置きます。また、基準案策定のための「商品分野別基準策定委員会(以下「基準策定委員会」という。)」をその都度設けます。 その他、エコマークに関する各界の意見を広く聴取する場として、各界の有識者によって構成されるエコマーク懇談会などを開催します。
- 運営委員会は事業者関係団体、消費者関係団体、環境保全に関する学識者および関係行政機関などの各界の有識者によって構成され、エコマーク事業の予算、事業計画、事業実施要領の制定・見直し、各委員会のガイドラインおよび規程などの制定・見直し、その他エコマーク事業の運営に関する事項を審議します。
- 企画戦略委員会は環境保全、環境教育、環境経済、グリーン購入などに関する学識者、関係行政機関、消費者問題専門家などの有識者、事務局によって構成され、第2章で定める商品類型の選定および見直しに関する事項を審議します。また、エコマークの普及・促進戦略の立案などを行います。
- 基準審議委員会は環境保全、LCA、資源循環、化学物質、生物多様性などに関する学識者、関係行政機関、消費者問題専門家などの有識者によって構成され、第2章で定める認定基準の策定にあたり、専門的見地から認定基準案を精査・検証します。
- 基準策定委員会は、選定された商品類型に関する事業者、消費者および中立機関の専門家や有識者によって構成され、環境の観点から商品のライフサイクル全体にわたる考慮をした上で、認定基準案を策定します。
- 審査委員会は、環境負荷の評価・低減対策などに関する中立機関の専門家や有識者によって構成され、エコマーク商品の認定に関する審議を行います。
第2章 エコマーク商品類型の選定と認定基準の策定
4.エコマーク商品類型の選定
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エコマークの対象とする商品類型は、次の手続きにより選定されます。
- 商品類型の提案については、事務局の提案によるほか、受付期間を定めてエコマークウェブサイトなどで供給者、消費者または第三者から広く提案を募集します。
- 上記の提案について、企画戦略委員会は情報収集や必要に応じて調査や関係者へのヒアリングなどを行います。
- 企画戦略委員会は上記①の提案を考慮し、新たな商品類型を選定します。
- 新たに選定された商品類型はエコマーク広報(メールマガジン)およびエコマークウェブサイトなどで一般に公表されます。
- 4-2.
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前項のほか、商品類型の選定に係る審議の手順および方針について必要な事項を、企画戦略委員会または事務局の発議にもとづき、運営委員会の承認を得て別途定めることができます。
5.認定基準の策定
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新たに選定された商品類型の認定基準は、次の手続きにより策定します。
- 選定された商品類型に関する専門家や有識者からなる基準策定委員会を設置します。
- 基準策定委員会は、認定基準案を策定します。策定にあたっては、表1「商品ライフステージ環境評価項目選定表」を活用し、商品のライフサイクル全体にわたる環境への負荷を考慮した上で、その商品の製造、使用、廃棄などによる環境への負荷が、他の同様の商品と比較して相対的に少ないレベル、またはその商品を利用することにより、他の原因から生じる環境への負荷を低減できるレベルの基準となるよう、商品類型の目的を達成するために優先度の高い項目を絞り込んで、定量的な認定基準案を策定します。また、より多くの消費者、事業者の行動を持続可能な社会の形成に向けて誘導できる認定基準案を策定します。ISO14024「タイプI環境ラベル」の原則に従い、環境的側面に重点をおいて基準項目を設定しますが、その商品類型に関連が深く、取り組むことが望ましい社会的側面についても基準項目に含めるものとします。なお、これらの基準項目の設定にあたっては経済的側面、例えば循環経済への貢献を念頭に置くものとします。
- 基準審議委員会は、策定された認定基準案を専門的見地から精査・検証します。
- 基準審議委員会の審議を経て、認定基準案は、エコマーク広報(メールマガジン)およびウェブサイトなどで公表され、30日間、一般からの意見や提案が受け付けられます。
- 基準策定委員会は一般からの意見や提案を考慮し、認定基準案を再度審議します。
- 基準策定委員会の審議結果にもとづき、公益財団法人日本環境協会は認定基準を制定します。
- 新たに制定された認定基準は、その背景となる情報などを添えてエコマーク広報(メールマガジン)およびウェブサイトなどで一般に公表されます。
表1「商品ライフステージ環境評価項目選定表」
環境評価項目 商品のライフステージ A.資源採取 B.製造 C.流通 D.使用消費 E.リサイクル F.廃棄 1 省資源と資源循環 2 地球温暖化の防止 3 有害物質の制限とコントロール 4 生物多様性の保全 - 5-2.
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前項のほか、認定基準の策定に係る審議の手順および方針について必要な事項を、企画戦略委員会、基準審議委員会、基準策定委員会または事務局の発議にもとづき、運営委員会の承認を得て別途定めることができます。
6.商品類型および認定基準の見直し
- 6-1.
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企画戦略委員会は、市場動向や技術発展などを考慮し、有効期限のおよそ2年前に認定基準を見直し、認定基準の全面的な改定、商品類型の終了、もしくは有効期限の延長について審議・承認します。
- 6-2.
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認定基準の全面的な改定手続きは、5.に準じて行い、基準策定委員会および基準審議委員会の審議結果にもとづき、公益財団法人日本環境協会が認定基準の改定を行います。
- 6-3.
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前6-1.、6-2.のほか、商品類型および認定基準の見直しに係る審議の手順および方針について必要な事項を、企画戦略委員会または事務局の発議にもとづき、運営委員会の承認を得て別途定めることができます。
第3章 エコマーク商品の認定
7.エコマーク商品の認定要件
次の要件を満たし、8.に定める必要な手続きを経た商品をエコマーク商品として認定します。
- その商品が、該当する商品類型に定められた認定基準を満たしていること
- 申込者およびその商品の製造事業者(申込者がその商品の製造事業者でない場合)は、関係する環境保全に関する法規、条例、公害防止協定等を遵守していること
- 品質および安全性は、関連する法規、基準、規格などに合致していること
ただし、上記要件を満たした商品であっても、審査委員会が環境保全上問題があると判断した場合は、認定しないことがあります。
8.エコマーク商品の認定手続き
- 8-1.
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個別商品のエコマーク認定手続きは、以下の手続きを経て行うこととします。
- 日本国内で販売される商品の製造または販売を行う事業者は、その商品のエコマーク認定の申込みを行うことができます。また、日本国内で販売・使用される商品の発注者は、特別仕様品であって発注者自ら使用または無償で配布する場合に限り、その商品のエコマーク認定の申込みを行うことができます。申込みにあたっては、別に定める「エコマーク商品認定審査に関するガイドライン」に従うこととします。
- 事務局は、エコマーク商品の認定申込受付に際し、必要に応じて認定申込者に第三者機関による検査の実施およびその証明書の提出等を求めることができます。
- 審査委員会は、申込みがあった商品について、7.の認定要件に関する審査を行い、その審査・承認にもとづいて、公益財団法人日本環境協会がエコマーク商品として認定します。
- 事務局は、エコマーク商品の信頼性を堅持するために、毎年度、エコマーク使用契約者を対象とした現地監査、ならびに既認定のエコマーク商品に対する試買テストを実施し、その結果を公表するものとします。
- 8-2.
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前項のほか、認定に関わる審議の手順および方針について必要な事項を、審査委員会または事務局の発議にもとづき、運営委員会の承認を得て別途定めることができます。
9.エコマーク商品認定の有効期間
商品認定審査により、認定を受けた商品の認定の有効期間は、当該商品が認定を受けている認定基準書(Version番号の整数値が同一のものに限る)に記載されている「有効期限」の日までとします。したがって、その後有効期限までの間に、いくつかの認定基準書の部分的な改定が行われた場合(Version番号の小数点以下が繰り上げ)も、当該商品が審査時の認定要件を満たしている限りその認定は有効となります。また、認定基準書の有効期限が、手順に則って延長された場合には、その延長された有効期限の日まで認定は有効となります。
第4章 エコマークの使用
10.エコマークの使用契約
エコマーク商品の認定を受け、エコマークを使用するにあたっては、認定取得者は公益財団法人日本環境協会と使用契約を締結します。
11.エコマーク使用規定
エコマークの使用にあたっては、別に定める「エコマーク使用規定」を順守するものとします。
12.エコマークの商標権、他
「エコマーク」の商標権は公益財団法人日本環境協会が保有しています。同協会は、エコマークが不正に使用された場合には、エコマーク使用契約の解除その他必要な法的措置をとることができます。また、エコマーク商品の認定後、認定要件に対し適合が維持されていない場合には、同協会は適切な是正措置を求めるとともに、場合によっては認定の一時停止または取消を行うことがあります。
[附則]
本事業実施要領の改定は、運営委員会において委員の過半数の同意を得て議決し、公益財団法人日本環境協会理事長が制定、施行することとする。
1989年2月1日制定施行
1994年4月1日改定施行
1996年3月1日改定施行
1997年1月22日改定施行
1998年9月8日改定施行
1999年5月1日改定施行
2000年7月1日改定施行
2005年4月1日改定施行
2007年9月25日改定施行
2010年4月1日改定施行
2011年4月1日改定施行
2013年4月1日改定施行(公益財団法人設立)
2018年4月1日改定施行(5-1.②項の改定)
2022年4月1日改定施行(Version番号の取扱等の追記)
2022年10月5日改定施行(8-1,④の追加、附則の改定)